Figmaユーザーが直面するアプリローカライゼーションの問題―プラグインを活用して翻訳ツールと連携

<目次> |
はじめに
Figmaは、UIデザインはもちろん、プロトタイプ、注釈、仕様共有など、さまざまな用途で使われ、複数のチームや関係者に共有されています。こうした状況の中で、多言語対応や翻訳を進める会社も多く存在していますが、その進め方に課題を感じている企業も少なくありません。本記事では、Figma活用が広がる背景から、機械翻訳(MT)を前提とした翻訳運用の課題、そして、どのように翻訳ツールを選択するかという内容に触れていきます。
第1章|Figmaとは何か、なぜ多くのチームで使われているのか
Figmaは、クラウドベースで複数人が同時に編集・確認できるデザインツールです。デザイン制作の効率化に加え、リアルタイムでのコメントや共有が可能なため、チーム間のコミュニケーション基盤としても活用されています。
近年では、プロダクトやデジタル施策のスピードが求められる中で、仕様書や画面イメージを一元的に管理できる点が評価され、利用範囲が拡大しています。もはや「デザイン担当者だけのツール」ではありません。Figmaはデザイン工程にとどまらず、企画、開発、運用といった複数の工程をつなぐハブとして機能するようになり部署をまたいで使用されています。
第2章|Figma活用が広がるほど顕在化する翻訳多言語化・情報管理の課題
Figmaで多言語対応を進める中で、特に直面しやすい課題は煩雑な手動作業や翻訳品質、情報管理です。具体的には、次のような問題が挙げられます。
1.煩雑なコピペ作業による工数の増加やミス・未翻訳リスク
Figmaからテキストをコピーし、翻訳ツールやスプレッドシートに貼り付け、翻訳後に再度デザインへ反映するといった手作業が発生すると、作業工数が増えるだけでなく、貼り付けミスや未翻訳のまま残ってしまうリスクも高まります。
2.生成AI(LLM)などで翻訳する際のセキュリティ・品質管理の課題
生成AI(LLM)を利用した翻訳は手軽ですが、企業によってはセキュリティポリシー上、外部AIサービスへのテキスト入力が制限されている場合があります。また、過去に翻訳した内容と異なる表現が生成されることもあり、結果として確認や修正の工数が増加するケースもあります。
3.パーツ単位で翻訳することによる統一性・文脈の問題
Figma上には、UIテキスト、コンポーネント名、注釈、プロトタイプ内の説明文など、多くの言語情報が含まれています。これらはユーザー体験や業務理解に直結する重要な要素です。
しかし、パーツごとに個別に翻訳すると、全体の文脈や構成を踏まえた表現の統一が難しくなります。その結果、表現の揺れや文脈に合わない翻訳が発生し、最終的に確認・修正の工数が増える可能性があります。
4.翻訳テキスト管理の属人化
翻訳されたテキストの管理が属人化すると、どの文言が最新なのか、どこまで確認・承認されているのかが分かりにくくなるという課題があります。
5.言語による文字数差によるレイアウト崩れのリスク
言語によっては、同じ内容でも文字数が大きく異なるケースがあります。例えば、英語の短いフレーズがドイツ語や日本語、フランス語では2倍近くの長さになることも珍しくありません。その結果、翻訳後のテキストをボタンやダイアログに反映する際に、文字が切れてしまう、レイアウトが崩れるといった問題が発生することがあります。
専門用語の誤訳や文脈に合わない表現は、そのままユーザー体験やブランドイメージに影響を及ぼします。こうしたリスクを防ぐには、デザイン段階から多言語化を前提とし、翻訳工程そのものを適切に管理する仕組みが不可欠です。
第3章|Figma×翻訳ツールという解決アプローチ
そのような課題に対して、近年注目されているのが「Figmaと翻訳ツールをプラグインで連携する」というアプローチです。これは、デザインと翻訳を従来のように分離した工程として扱うのではなく、同一のワークフロー内で異なるシステムを用いて管理するという考え方に基づいています。
Figma上のテキストを翻訳管理ツールと連携させることで、UIテキストや注釈といった翻訳対象を自動的に抽出し、整理できます。これにより、コピー&ペーストによる手作業や、翻訳漏れ・差し戻しといった問題を減らすことができます。
また、翻訳管理ツール側では、翻訳メモリや用語集、レビュー・承認フローといった仕組みを活用できます。Figmaと連携することで、これらの仕組みがデザイン工程と分断されることなく機能し、翻訳のスピードと正確性を両立しやすくなります。
このような連携は、機械翻訳を前提とした運用とも相性が良く、「多言語アプリをどう管理するか」という視点を自然にプロセスに組み込むことができます。
第4章|Figma翻訳ツールの選び方
多言語対応ニーズの高まりとともに、Figma対応の翻訳ツールの選択肢も増えています。ツールは「テキスト抽出・翻訳・ワークフロー/承認管理・インポート」といった複数の機能を備えているものや、単純に機械翻訳を置き換えているだけのものもあります。自社の課題や運用フローに合う『最適なツール』を見抜くには、以下のポイントをより具体的に見極めることが大切です。
<ツール選びのチェックリスト>
1. テキスト抽出・反映の柔軟性
- デザイン全体/ページ単位/フレーム/レイヤー/コンポーネント単位など、必要な部分だけを柔軟に抽出・反映できるかどうか。
- 既存のファイル構成や命名ルールに合う粒度で運用できるか。
2. 翻訳管理とレビュー・承認フロー
- 翻訳メモリや用語集で、過去の訳や専門用語を統一できるか。
- 完全自動ではなく、翻訳者/レビュワーによる段階的な承認フローが組み込めるか(誤訳リスクの低減)。
- ステータス管理(未翻訳/翻訳済/レビュー中/承認済など)で進行状況を一目で把握できるか。
3. デザイン品質への配慮
リアルタイムプレビューやバージョン管理で、デザイン変更の影響をすぐにチェックできるか。
4. 機械翻訳・AI連携・人的翻訳のバランス
- 生成AI、Google翻訳、DeepLなど主要な機械翻訳エンジンへの対応状況。
- 運用シーンに応じて柔軟な切替ができるか。(最初は機械翻訳でスピード重視、公開直前はプロの校正、など)
5. チームコラボレーションと運用性
- 複数人作業のプロジェクト管理や権限(ロール)ごとの操作制限、履歴管理。
- デザイナー・開発・翻訳者・PM等、職種ごとのワークフローやコミュニケーションに配慮しているか。
6. セキュリティ・エンタープライズ対応
- 大規模・多拠点・多プロジェクト運用にも耐えられる拡張性・API連携性。
- 機密情報や用語の扱い、アクセスログ管理など、企業向け要件(セキュリティ/監査対応)を満たしているか。
7. サポート体制やコミュニティ
- 日本語によるサポートやヘルプページ、コミュニティの有無。
- 初期導入サポート・運用トレーニング・アップデートの頻度など。
これらのポイントを踏まえ、自社のワークフローや多言語化の規模、品質要求などに合ったツールを選ぶことが、翻訳業務の最適化に繋がります。
第5章|翻訳ツール導入の例:Figma × GlobalLink Strings
プラグインで翻訳ツールと連携すると、Figma上のテキストはどのような流れで翻訳されるのでしょうか。ここでは、GlobalLink Stringsを例に、具体的な運用イメージや価格などをご紹介します。
①テキストの自動抽出
Figmaのデザインファイルから、すべてのテキストレイヤーをワンクリックで自動抽出できます。ページ全体や選択したフレーム、レイヤーごとに細かく抽出範囲を指定できるため、手作業によるコピペの負担や抜け漏れがありません。


②翻訳依頼・管理の一元化
抽出したテキストは、GlobalLink Stringsのクラウド上の翻訳管理システムへ送信されます。プロジェクト管理者は、社内翻訳チームあるいは社外のプロの翻訳者へ翻訳作業を簡単に依頼できます。
プロジェクトマネージャー、翻訳者、開発者、デザイナーなど、全てのチームメンバーが一元化されたダッシュボード上で進捗や担当範囲を確認できるため、属人化や伝達ミスも防げます。



③翻訳メモリ、LLM、機械翻訳を活用した効率的な翻訳
翻訳者は、翻訳メモリ(TM)や用語集に加え、機械翻訳エンジンを組み合わせることで、翻訳作業を効率化できます。
過去に承認された翻訳や専門用語は翻訳メモリとして蓄積され、次回以降の翻訳時に自動的に再利用されるため、表現の統一と作業時間の短縮を同時に実現できます。
プロジェクトや用途に応じて、弊社独自の機械翻訳だけではなく、Google翻訳やDeepL、LLMを初期翻訳として活用することも可能です。
まずはスピード重視で機械翻訳を適用し、その後に人のレビューや承認を組み合わせることで、品質と効率のバランスを取った運用が行えます。
④GlobalLink Stringsのプレビュー機能で多言語表示をリアルタイム確認
GlobalLink Stringsには、公開前に翻訳済みテキストがどのように表示されるかをリアルタイムで確認できる「インコンテキストビュー」機能と呼ばれるプレビューを備えています。
プレビュー画面では、日本語や英語、その他任意の言語に切り替えてチェックできるほか、もし表示がはみ出したり不自然な言い回しになっていた場合は、 GlobalLink Strings内でその場で翻訳を修正して即座に再プレビューすることが可能です。サイドバイサイド比較ができ、従来のようにFigmaやローカルファイルでいちいち変更・再確認を繰り返す手なく、効率よく実運用に近い言語表示を品質管理できます。
- 例えば下記のようなことをチェックできます。
- 長い言語でラベルやボタンがはみ出していないか
- レイアウト崩れや改行位置の違和感がないか
- 用語や表現のニュアンスがUIにぴったり合っているか
GlobalLink Strings なら、画面単位で細かく確認しながら最適な翻訳に調整することができます。
デザイン段階や翻訳レビューの最終工程でこのプレビュー機能を活用することで、リリース前に多言語UIの品質を高く維持できます。さらに、効率面においても「検証済み」マークを付けてステータスの可視化ができます。
⑤翻訳済みテキストの自動インポート
翻訳が完了したら、GlobalLink Stringsプラグイン経由で翻訳テキストをFigmaデザインファイルへ自動で反映。各言語ごとのデザインを素早くチェックし、デザインに合わせた翻訳が反映されるので、各言語のデザインチェックの負担が格段に減ります。
まとめ|Figma × GlobalLink Stringsで翻訳はもっと効率的・高品質に
従来、Figmaデザインの多言語対応は「コピペによる翻訳指示」「各言語ごとのデザインの再調整」「管理の属人化」など、多くの煩雑な課題がありました。しかし、FigmaとGlobalLink Stringsを連携することで、テキストの抽出から翻訳依頼、管理、プレビュー、インポートまで一元化することが可能です。
機械翻訳や翻訳メモリ・用語管理などを活用すれば、スピードと品質を両立でき、レイアウト崩れや誤訳リスクへの対策も万全です。
チーム全員が最新の情報と進捗を共有できるため、デザイナー、翻訳者、開発者、マネージャーそれぞれの役割・連携もスムーズに。
これから多言語対応を本格的に進めたいFigmaユーザーにとって、GlobalLink Stringsは最も強力なパートナーとなるでしょう。